
PACIFIC企業創造協同組合の馬場と申します。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
先日、弊組合でサポートしている組合員様にて、所属している特定技能外国人の方がプライベートで自転車を運転している際、歩行者と接触事故を起こし全治3か月(大腿骨骨折)のケガを負わせてしまいました。
自転車保険には未加入でしたが、住んでいる寮で加入していた火災保険に個人賠償特約が含まれていたため、被害に遭われた方への損害賠償を保険で補償することが出来ました。
今回のような予期せぬ事故が発生し、場合によっては大きな損害賠償問題に発展することもありますので、組合員様への注意喚起の意味も含めご案内させて頂きます。
万が一の補償リスクに備えて、加入している各種保険の補償内容を今一度ご確認をお願いいたします。
現在ほとんどの都道府県または市区町村において、自転車を運転する方への自転車保険の加入義務(※1)が法令化されておりますが、勤務中の賠償責任事故については一部例外を除きほとんどのケースが使用者責任となり、個人で加入している自転車保険(対人賠償保険)は補償の対象外となります。
(※1.義務化されているのは「対人賠償保険」、「対物賠償や自身のケガ保障」は任意となります。生命保険や火災保険等の各種保険にて「対人賠償保険」がオプション等でついている場合は、自転車保険に別途加入する義務は必ずしもございません。)
補足として弊組合経由の技能実習生については、病気治療費等を補償する「外国人技能実習生総合保険」に加入しており、その補償内容に対物賠償・対人賠償が含まれております。特定技能外国人については、本人希望により任意で「特定技能外国人総合保険(外国人実習生総合保険と同等)」に加入することは可能ですが、個人負担となるため全ての方が加入している訳ではありませんのでご注意ください。
通勤中の事故については基本的には本人の自己責任となり、自転車保険(対人賠償保険)の補償対象となりますが、自賠責法3条や民法第715条により,場合によっては使用者責任を問われるケースもございます。マイカー通勤を例にすると、従業員にマイカー通勤を許可、ガソリン代の支給、駐車場提供など手当を支給をしている場合は、会社がマイカー通勤を奨励・助長していると判断され、責任が生じる可能性があります。
個人の自転車保険の加入についてですが、弊組合がサポートしている特定技能外国人の方へは、各担当スタッフより加入義務についての説明は都度いたしておりますが、個人義務の範疇となり加入を強制することや加入状況の管理等は出来ないため、あらかじめご理解の程お願いいたします。
そのため自転車保険に加入しない方への対策として、例えば就業規則で保険の加入が無い場合は自転車通勤を許可しない等、組合員様において労使協定等の見直しや従業員様の保険加入状況の管理等をお願いたします。ただし一部の外国人のみに規則を適用させることは労働基準法3条で禁止されておりますので、規則を新たに追加する場合は、従業員様全体を対象とした規則として制定をお願いいたします。
仕事の現場間での移動やおつかいなどで勤務中に自転車を使用することがある場合、各保険会社で販売されている「施設賠償責任保険」に、自転車の使用時の補償が含まれている商品もありますので、そのような保険に加入することも対策のひとつとなります。
今回、特定技能外国人の方の事故を例にご案内させて頂きましたが、組合員様ならびに従業員様全体のリスクヘッジとしてお考え頂ければ幸いです。すでに色々とご対策済みでしたらご容赦ください。
末筆ながら、組合員様の益々のご発展をお祈り申し上げます。
敬具